親業とは

親業とは

books002親業はアメリカの臨床心理学者、トマス・ゴードン博士(1918~2002)が考案した親教育のプログラムです。アメリカでは「Parent Effectiveness Training」と言い、「親としての役割を効果的に果たすための訓練」です。

ゴードン博士は、「子育ては一大事業である」という信念の元、カウンセリング、発達心理学、教育学などの、いわゆる行動科学の研究成果をベースに、親教育のプログラムを考案しました。

アメリカでは1962年に講座が開講され、子どもが自立に向けて健やかに育つための親の学びとして、アメリカ中に広がっていきました。現在では、世界48か国に広がっています。

日本では、1977年に「親業」(トマス・ゴードン著、近藤千恵訳、サイマル出版会)が出版されました。1979年には初めての講座が開かれた記事が新聞に掲載されたことにより全国から問い合わせが相次ぎ、1980年に親業訓練協会が設立されました。現在は全国に約400名のインストラクターがおり、約150000人の方が講座を受講されています。

 

ゴードン博士は、1999年にアメリカ心理学財団からゴールドメダル受賞という栄誉を得ました。その表彰状には次のように記されています。

「トマス・ゴードンは、親密で永続的な人間関係を築き、維持していくための一つのモデルを築き上げた。人間関係についての抽象的な概念を、具体的な行動の技法(スキル)という形に変え、それを一般大衆の手に届くものとしたことによって、彼はまさに”心理学を人々に贈った”と言える。」

このようにゴードン博士は、心理学を学んでいない人にも使える技法を紹介したことにより、多くの幸せの種を蒔いてくれました。博士は常に自身やインストラクターたちを、「ピースメーカー」と言っていました。

1997~1999年にかけて、3年連続で「ノーベル平和賞」ノミネートされています。

 

親業訓練講座について

親業訓練講座について

「親は非難されるが訓練は受けていない。何百万という新しい父親や母親が毎年生まれ、人間の仕事のなかでもいちばんむずかしい仕事につくーほとんどなにも自分でできない小さな人間の肉体的、精神的健康に全責任を負い、生産的、協調的で、なにか貢献のできる社会人に育てあげるという親業に。これほど困難で、能力や努力を必要とする仕事がほかにあるだろうか。

しかも、そのための特別な訓練を受けた親が何人いるだろう。親業者のためにどんな訓練プログラムがあるというのか。親業を効果的に果たすのに必要な知識や技能を、いったいどこで手に入れたらよいだろう。」―「親業」トマス・ゴードン著 大和書房より抜粋―

 

親業訓練の3つの柱

親業訓練講座では、3つの柱を中心に理論を学習し、ロールプレイやディスカッションなどを体験しながらコミュニケーションスキルを身につけていきます。このように親がコミュニケーション能力を高めることで、子どもの考える力や思いやりの心を育み、自立に向かって健やかに成長していきます。また親自身も学びを通して自分と向き合い、自己理解を深めて行きます。

親と子が互いに自立した人として、お互いを尊重し合える関係を築くことができるようになっていきます。

 

「聞く」
~子どもが心を開いて、本当の気持ちを親に話すように接し、子どもが何か悩んでいる時に、自分で解決できるように助けます~
「話す」
~親が子どもに自分の気持ちや考え方を率直に伝えます~
「対立を解く」
~親子の間の欲求の対立は、お互いが納得できるように話し合って解決します~
~親子の間の価値観の対立は、親の価値観を見直す、伝える、親の生きる姿を見せるなどで解決します~

親業訓練講座は、親子のコミュニケーションをスムーズにし、より良い関係を築くためのものですが、この方法は親子だけでなく、すべての人間関係に有効です。教師と生徒の間では「教師学講座」として、医療・介護現場では「看護ふれあい学講座」として、また様々な人間関係に応用できる「自己実現のための人間関係講座」として広がっています。

親業訓練について詳しくは、親業訓練協会のHPをご覧下さい。
http://www.oyagyo.or.jp

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